あたしにはあたしの着る服があってそれはどこで売っているんだろう2
結局、私はまたしてもくだらぬ妄想に浸ってしまうのであった。どこへ行っても。
赤いセーターが欲しい
という現実的な目標さえ曖昧にしたまま、クラゲのごとく1階から4階までをうだりうだりと漂うことしかできないのか。
だとしたら私にたどり着ける場所ってのは一体何処なんだろう。
ここが水槽なら
海の青さも知らない海月なら
この水槽の壁をぶち壊し、穴を開けて覗いてみたい。
そこからなら、もしかしたら、私の欲しいものも見えるのかもしれない。
「綺麗なボルドーですよね、お似合いです」
鏡に突然店員のお姉さんが映る。
銀縁の丸い眼鏡と、描かれた椿に一瞬目が奪われる。
「髪色が黒だから、赤、凄く映えますね」
そうですかね、とできるだけ卑屈に見えないよう口の形を整える。
こんな色を着たら中身まで丸出しにしてしまいそうで心配です。
と意味不明な事を口走りそうになるのをぐっと堪えて現実的な回答を探す
「これください」
と、いう風になればいいのに。
あたしの着る服。それはどこで売っているんだろう。
まだないなら作るしかない。
☆
以上、妄想、終了。☆